大判例

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東京地方裁判所 平成12年(ワ)1732号 判決

原告 日本信販株式会社

右代表者代表取締役 鈴木公久

右訴訟代理人弁護士 佐々木一郎

被告 東亜企画株式会社

右代表者代表取締役 長嶋宣幸

右訴訟代理人支配人 松浦新親

主文

一  東京地方裁判所民事第二一部が同庁平成一〇年(ケ)第四一二二号不動産競売事件につき作成した平成一二年一月二七日付別紙配当表のうち、被告に対する配当額が金四四九万九〇〇〇円とあるのを金〇円に、原告に対する配当額が金三五九六万七二四七円とあるのを金四〇四六万六二四七円に、それぞれ変更する。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第一請求の趣旨

主文同旨

第二事案の概要

本件は、原告が、被告の不動産保存の先取特権が第三者に効力を生じない旨主張して、不動産競売事件の配当表の変更を請求した事案である。

一  争いがない事実

1  被告は、平成一〇年五月六日、別紙物件目録2記載の建物の訴外沓澤昇持分(以下「本件建物持分」という。)について、平成六年一一月五日修繕費の先取特権発生に基づく不動産保存先取特権の保存登記をした(以下、この先取特権を「本件先取特権」といい、この登記を「本件登記」という。)。

2  東京地方裁判所は、別紙物件目録記載の各不動産につき、同庁平成一〇年(ケ)第四一二二号不動産競売事件(以下「本件競売事件」という。)の手続を開始し、平成一二年一月二七日の配当期日において、別紙配当表(以下「本件配当表」という。)を作成した。

本件配当表においては、本件建物持分について、本件先取特権の存在を理由として、被告が第一順位債権者とされ、その配当額は四四九万九〇〇〇円とされた。そして、原告は、本件建物持分については第二順位、その余の競売対象物件については第一順位債権者とされ、その配当額は三五九六万七二四七円とされ、これに劣後するその余の債権者についてはその配当額は〇円とされた。

3  原告は、右配当期日において、被告の配当額全額について異議を申し立てたが、被告はこれを承認しなかった。

二  原告の請求

民法三三七条によれば、不動産保存の先取特権は保存行為完了の後「直チニ」登記することを要するとされているが、被告は、これを三年六月余り経過した後に行っているので、本件先取特権は第三者に対する効力を生じない。よって、その効力を前提とした本件配当表の変更を請求する。

三  争点

本件登記が「直チニ」(民法三三七条)なされたものといえるか否か

第三争点に対する判断

民法三三七条は「不動産保存ノ先取特権ハ保存行為完了ノ後直チニ登記ヲ為スニ因リテ其効力ヲ保存ス」と規定するところ、ここに「直チニ」とは「遅滞なく」することを意味するものと解すべきである。したがって、平成六年一一月五日に発生した本件先取特権につき平成一〇年五月六日になされた本件登記は、「直チニ」なされたものとはいえず、本件先取特権は第三者に対する効力を生じない。

よって、本件先取特権が第三者に対する効力を生じていることを前提として作成された本件配当表は変更されるべきであり、原告の請求には理由がある。

(裁判官 内田博久)

(別紙)物件目録

1 所在 大田区池上六丁目

地番 28番20

地目 宅地

地積 79.33平方メートル

共有者 沓澤昇  持分2分の1

共有者 沓澤千里 持分2分の1

2 所在 大田区池上六丁目28番地20

家屋番号 28番20

種類 倉庫・事務所・居宅

構造 鉄骨造陸屋根3階建

床面積 1階 31.50平方メートル

2階 44.54平方メートル

3階 47.70平方メートル

共有者 沓澤昇  持分2分の1

共有者 沓澤千里 持分2分の1

(別紙)配当表<省略>

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